振付 = フレデリック・アシュトン( Frederick Ashton )
音楽 = ジャコモ・メイヤビア( Giacomo Meyerbeer )
初めて見るバレエです。
ブルー・ボーイはイーサン・スティーフェル。いつも、この人の女性ダンサーのような軽いステップに驚かされるが、この日はラストの大回転がすごかった。観客も盛んに喝采していた。
ブルー・ガールズとレッド・ガールズは、4人ともコール・ドのメンバー。技術という点では、青組の方が上のような気がするが、私は赤組の方が良かったと思う。二人の動きがよく合っていて、しかもポーズがとても美しかった。ちなみにブルー・ガールズは、シーズン後半の「海賊」でメットを沸かせることになるジリアン・マーフィとオクサナ・コノベエーワ。(おお、ピコーネも「恋人たち」で出ているではないか←ステージビルを見返していて今気づいた)
ダンサーの退場の仕方など、コミカルな工夫がされていて、楽しいバレエだった。
原振付 = オーギュスト・ブルノンヴィル( after August Bournonville )
音楽 = ヘルマン・フォン・ロヴェンショルド( Herman von Lovenskjold )
シルフィード = ジュリー・ケント( Julie Kent )
ジェイムズ = ギョーム・グラファン( Guillaume Graffin )
ケントのシルフィードは、とてもかわいい。お茶目な仕草や表情など、ジェイムズでなくとも抱きしめたくなる。
実を言うと、私は「シルフィード」のパ・ド・ドウの良さが分からない。(なぜ、ミロノフ先生はノンナのコンクール演目にこれを選んだのだろう?) いつも思うことは、「ジェイムズのソロって難しそう!」ぐらい。全幕で見ると違うのだろうか。
この日は、途中でちょっとしたハプニングがあった。ケントが跳ねる度に、何やらカサコソという音が聞こえるではないか。よく見ると、足元にコール・ドの誰かの羽根が落ちていたのだ。場所が悪く、ちょうどケントの踊る先々に、彼女自身に蹴られる形でついて回るので、場内から失笑ももれる始末。(主役のシルフィードより先に羽根が抜け落ちてどうする)
それにしても、ケントには気の毒なことだった。シルフィードの死ぬ場面はとても痛々しくて、素晴しい演技を見せてくれたのに、これのせいで、「抜ける羽根」のインパクトが弱まってしまったのは、否めない。
振付 = ハラルド・ランダー( Harald Lander )
音楽 = Knudaage Riisager: オリジナルはチェルニー ( after Czerny )
ソリストはアンヘル・コレーラ、マキシム・ベロチェルコフスキー( Maxim Belotserkovsky )、そして怪我をしたマッケロウに代り、スーザン・ジャフィ。
これも初めて見るバレエだったが、予想以上にすてきなバレエで感激した。
バレエ学校の生徒による基本の五つのポジションで始まり、バーレッスン、センターとどんどん練習している技が難しくなっていき、その合間合間にソリストたちのきら星のような踊りがさしこまれるので、ぐいぐいと引き込まれてしまった。
コール・ド・バレエから伝わってくる迫力が大きくて、ソリストと対等、ともすればソリスト・チームが負けそうなほど。
代役のためか、ジャフィは少し動きが荒かった。グラマラスな笑顔は、相変わらず魅力的だったのだが。
コレーラは本当に素晴しい。この日も回転技など、絶好調のように見えた。
ベロチェルコフスキーは、いかにも王子様路線で、踊りも端正。コレーラとは反対のタイプで、コレーラが華やかな回転やジャンプで観客の熱狂を駆り立てるならば、ベロチェルコフスキーは優雅な腕の動きや美しい体のラインでため息を誘うといった具合。
この3人は2種類の衣装を、A→B→A→Bという風に数回着替えるのだが、すごい早業でビックリ。でも、どうして着替える必要があるのだろう。バレエの様々な動きを一挙に見せるわけだから、場面によってはロマンチック・チュチュが、また別の場面ではクラシック・チュチュが似合う、といった事情は理解できるのだが。
観客としては、目も楽しませてもらえるし、「すごい」と感心もできるし、うれしいのだけれど、ダンサーは大変だろうなあ、と思ってしまう。