アメリカン・バレエ・シアター 



98年7月1日(水) 8:00PM〜
ニューヨーク、メトロポリタン・オペラ・ハウス



I.「シンフォニー・コンチェルタント」( Symphonie Concertante )  

振付 = ジョージ・バランシン( George Balanchine )
音楽 = アマデウス・モーツァルト( Amadeus Mozart )

ジュリー・ケント( Julie Kent )
アシュリー・タトル( Ashley Tuttle )
ギョーム・グラファン( Guillaume Graffin )

 バランシンの振付らしく、音楽を「見ている」ような気持ちにさせられた。

 主旋律のヴァイオリンのメロディーをケントが、副のヴィオラをタトルが踊ったが、二人とも素敵だった。タトルは今日も丁寧で、好印象。

 途中、手をつないだコール・ド・バレエ(すべて女性)が、プリンシパル・トリオを包囲して、そのまま全員でゆるゆると袖に下がっていく退場の仕方など、(私は目にしたことなどなかったので)おもしろく見れた。

 グラファンは、このシーズン中私が見たうちで、一番良かった。と言っても、ほとんど出ずっぱりの女性陣に比べて、踊るところが少なかったのだけど。


II.「グラン・パ・クラシック」( Grand Pas Classique )

振付 = ヴィクトール・グソフスキー( Victor Gsovsky )
音楽 = フランソワ・オベール( Francois Auber )

スーザン・ジャフィ( Susan Jaffe )
ウラジーミル・マラーホフ( Vladimir Malakhov )

 この日、一番見たかった演目。そして、期待は裏切られなかった。どころか、予想以上の素晴しさで感激。

 ジャフィの手足の動きはとても音楽的で、軸の揺るがない回転は本当に美しかった。バランスも完璧。加えて、非常に魅惑的な目の動き。(私はもともと彼女の流し目が大好きなのだが、)マラーホフとのアイ・コンタクトの後、すっと他に視線を流すだけで、なぜか豊かな情趣が生まれる。あなたの瞳に乾杯(完敗)、です。

 マラーホフは、いつもながら美しかった。跳ねる時の軽さ、ポーズのうつくしさ、キレのいい回転、丁寧なサポート、どれをとっても不足を言うところがない。本当に、見れば見るほど、ますます好きになっていくダンサーだ。

 二人の衣装は、昨年日本で行われた世界バレエフェスで、ギエムとイレールが身につけていたMarcos Paredasのデザインによるもの。ジャフィは黒髪をきりっとシニヨンにまとめていた。髪飾りはなかったように思います。マラーホフは、宗教画の天使のように、金髪をくるくるにカールさせていた。


III.「ドン・キホーテ第三幕よりグラン・パ・ド・ドウ」
( Don Quixote Grand Pas de Deux from Act III )

原振付 = マリウス・プティパ( after Marius Petipa )
音楽 = ルートヴィッヒ・ミンクス( Ludwig Minkus )

パロマ・ヘレーラ( Paloma Herrera )
ホセ・マニュエル・カレーニョ( Jose Manuel Carre
ño )

 ラテン・パワー全開。

 カレーニョは、完璧。どういう動きをしても過不足がないように思えた。それでいて、華やかで、粋。

 ヘレーラは、確かに派手やかだが、過不足がある感じ。「もう少し曲げたら」とか「そこまでしなくても」とか思ってしまう箇所があった。また、この人を見ていたら、体の中心が歪んでいるのでは、と疑ってしまうことが時々ある。バレリーナだから、姿勢が悪いということはないのだろうが。フェッテも軸足が曲がって見えるので、美しくない。半分まではシングルとダブルを交互にしていたが、それより普通に回ってきれいに見えるようがんばってもらいたい。

 夏休みに入ったためか、高校生らしい大集団が来ていて、興奮のあまり大騒ぎ。特に、「ドン・キ」の最中から、二人が難技をきめる度に、悲鳴のような黄色い声が上の階から降ってきた。レベランスの時には、記者会見のようにフラッシュをたいて大顰蹙。(あんな所から、フラッシュの光が被写体に届くわけがないのに) 撮影禁止のマイク放送がされるや否や、良識ある大人たちから大きな拍手が起こった。どこの国でも「最近の若いモンは・・・」なのですね。


IV.「エチュード」( Etudes )

振付 = ハラルド・ランダー( Harald Lander )
音楽 = Knudaage Riisager: オリジナルはチェルニー ( after Czerny )

アマンダ・マッケロウ( Amanda McKerrow )
イーサン・スティーフェル( Ethan Stiefel )
ジュゼッペ・ピコーネ( Giuseppe Picone )

 マッケロウは可もなく不可もなく。

 男性陣は予想と反対で、エレガントなパートをピコーネが、ジャンプや回転技の多いパートをスティーフェルが踊っていた。

 ピコーネは舞台映えがするが、このパートでは「海賊」で見せたほど観客にアピールすることはできない。所どころ粗い部分が、気にかかった。

 スティーフェルは、やはりピコーネより巧みだが、同じパートをコレーラで見てしまった目には、少し物足りない。これは、贅沢かな?



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