振付 = ジョージ・バランシン( George Balanchine )
音楽 = アマデウス・モーツァルト( Amadeus Mozart )
ジュリー・ケント( Julie Kent )
アシュリー・タトル( Ashley Tuttle )
ギョーム・グラファン( Guillaume Graffin )
バランシンの振付らしく、音楽を「見ている」ような気持ちにさせられた。
主旋律のヴァイオリンのメロディーをケントが、副のヴィオラをタトルが踊ったが、二人とも素敵だった。タトルは今日も丁寧で、好印象。
途中、手をつないだコール・ド・バレエ(すべて女性)が、プリンシパル・トリオを包囲して、そのまま全員でゆるゆると袖に下がっていく退場の仕方など、(私は目にしたことなどなかったので)おもしろく見れた。
グラファンは、このシーズン中私が見たうちで、一番良かった。と言っても、ほとんど出ずっぱりの女性陣に比べて、踊るところが少なかったのだけど。
振付 = ヴィクトール・グソフスキー( Victor Gsovsky )
音楽 = フランソワ・オベール( Francois Auber )
スーザン・ジャフィ( Susan Jaffe )
ウラジーミル・マラーホフ( Vladimir Malakhov )
この日、一番見たかった演目。そして、期待は裏切られなかった。どころか、予想以上の素晴しさで感激。
ジャフィの手足の動きはとても音楽的で、軸の揺るがない回転は本当に美しかった。バランスも完璧。加えて、非常に魅惑的な目の動き。(私はもともと彼女の流し目が大好きなのだが、)マラーホフとのアイ・コンタクトの後、すっと他に視線を流すだけで、なぜか豊かな情趣が生まれる。あなたの瞳に乾杯(完敗)、です。
マラーホフは、いつもながら美しかった。跳ねる時の軽さ、ポーズのうつくしさ、キレのいい回転、丁寧なサポート、どれをとっても不足を言うところがない。本当に、見れば見るほど、ますます好きになっていくダンサーだ。
二人の衣装は、昨年日本で行われた世界バレエフェスで、ギエムとイレールが身につけていたMarcos Paredasのデザインによるもの。ジャフィは黒髪をきりっとシニヨンにまとめていた。髪飾りはなかったように思います。マラーホフは、宗教画の天使のように、金髪をくるくるにカールさせていた。
原振付 = マリウス・プティパ( after Marius Petipa )
音楽 = ルートヴィッヒ・ミンクス( Ludwig Minkus )
パロマ・ヘレーラ( Paloma Herrera )
ホセ・マニュエル・カレーニョ( Jose Manuel Carre
ラテン・パワー全開。
カレーニョは、完璧。どういう動きをしても過不足がないように思えた。それでいて、華やかで、粋。
ヘレーラは、確かに派手やかだが、過不足がある感じ。「もう少し曲げたら」とか「そこまでしなくても」とか思ってしまう箇所があった。また、この人を見ていたら、体の中心が歪んでいるのでは、と疑ってしまうことが時々ある。バレリーナだから、姿勢が悪いということはないのだろうが。フェッテも軸足が曲がって見えるので、美しくない。半分まではシングルとダブルを交互にしていたが、それより普通に回ってきれいに見えるようがんばってもらいたい。
夏休みに入ったためか、高校生らしい大集団が来ていて、興奮のあまり大騒ぎ。特に、「ドン・キ」の最中から、二人が難技をきめる度に、悲鳴のような黄色い声が上の階から降ってきた。レベランスの時には、記者会見のようにフラッシュをたいて大顰蹙。(あんな所から、フラッシュの光が被写体に届くわけがないのに) 撮影禁止のマイク放送がされるや否や、良識ある大人たちから大きな拍手が起こった。どこの国でも「最近の若いモンは・・・」なのですね。
振付 = ハラルド・ランダー( Harald Lander )
音楽 = Knudaage Riisager: オリジナルはチェルニー ( after Czerny )
アマンダ・マッケロウ( Amanda McKerrow )
イーサン・スティーフェル( Ethan Stiefel )
ジュゼッペ・ピコーネ( Giuseppe Picone )
マッケロウは可もなく不可もなく。
男性陣は予想と反対で、エレガントなパートをピコーネが、ジャンプや回転技の多いパートをスティーフェルが踊っていた。
ピコーネは舞台映えがするが、このパートでは「海賊」で見せたほど観客にアピールすることはできない。所どころ粗い部分が、気にかかった。
スティーフェルは、やはりピコーネより巧みだが、同じパートをコレーラで見てしまった目には、少し物足りない。これは、贅沢かな?