アメリカン・バレエ・シアター 



98年10月30日(金) 8:00PM〜
ニューヨーク、シティ・センター



I.「ウィズアウト・ワーズ」( Without Words )

振付 = ナッチョ・デュアト( Nacho Duato )
音楽 = フランツ・シューベルト( Franz Schubert )

サンドラ・ブラウン( Sandra Brown )
マキシム・ベロチェルコフスキー( Maxim Belotserkovsky )

パロマ・ヘレーラ( Paloma Herrera )
アンヘル・コレーラ( Angel Corella )

サラ・マウ( Sara Mau )
キース・ロバーツ( Keith Roberts )

ジュリー・ケント( Julie Kent )
ウラジーミル・マラーホフ( Vladimir Malakhov )

 ナッチョ・デュアトの新作。
 8人のダンサーたちは全員肌色のぴっちりした衣装を身にまとい、薄暗い照明のもとで全裸のように見える。女性たちはきっちりシニヨンに髪をまとめ、装飾品は一切つけず、とてもナチュラルな感じ。
 舞台の右奥に上から黒い幕が下がっており、下部は鯉のぼりの吹流しのように細かく切れ目が入れられており、ダンサーたちの出入り口となる。上部にはダンサーたちのアップ写真や、踊りの一場面が次々とスライドで映し出され、スクリーンとして使われていた。
 音楽はシューベルトの音楽を寄せ集めたものを、それぞれ一台のピアノとチェロで演奏。総じて、心地よいものが多かった。
 私はコンテンポラリー作品が全く分からないのだが、受けた印象は「穏やか・ナチュラル・優しい」といったところか。とにかく、照明が暗く、音楽が気持ち良く、踊りも流れるような滑らかさだったので、見ていてリラックスできたのを覚えている。振付は、女性の額に男性が手の平をあててサポートしたり、床を転がりながら登場したりとおもしろいものもあった。


II.「グラン・パ・クラシック」( Grand Pas Classique )

振付 = ヴィクトール・グソフスキー( Victor Gsovsky )
音楽 = フランソワ・オベール( Fran
çois Auber )

スーザン・ジャフィ( Susan Jaffe )
ウラジーミル・マラーホフ( Vladimir Malakhov )

 ABTの春のシーズンで、とても素晴らしかったので、再度行ってしまった。

 同じペアだが、前回の方が二人とも良い出来だったと思う。前回は、ほどよい緊張感と華やぎと余裕があって、燦然とした輝きが最初から最後まで放たれていたのだが、今回は素晴らしかったことには違いないが、何かが欠けている気がした。(席が悪かったのも一因かも)
 ジャフィは、ソロの連続プリエのところで、音楽に合わせるのがやや大変そうに見えた。
 しかしながら、二人がかもし出すエレガントな雰囲気には、毎度のことながらため息を誘われる。
 二人の衣装は、春と同じく黒白のパレデスのデザイン。休憩をはさんで、続けて出場のマラーホフは、「ウィズアウト・ワーズ」の時はストレートだった髪をカールさせていた。(これを踊るときは、カールに決めているのね)


III.「ロミオとジュリエット第一幕よりパ・ド・ドゥ」
( Romeo and Juliet Pas de Deux from Act I )

振付 = ケネス・マクミラン( Kenneth MacMillan )
音楽 = セルゲイ・プロコフィエフ( Sergei Prokofiev )

ジュリエット = パロマ・ヘレーラ( Paloma Herrera )
ロミオ = アンヘル・コレーラ( Angel Corella )

 私が今まで見た中で、一番元気なロミオとジュリエット。
 ヘレーラのジュリエットは、以前キース・ロバーツとのコンビで見たが、コレーラとの方が相性はいいようだ。
 アンヘル・コレーラのスピンはド迫力。凄いというしかない。ここはロミオがジュリエットに向かって「君が好きだーーーーっ!」と気持ちを訴えるところなので、どのダンサーも熱烈な回転を披露するものだが、彼の回転は速さといい、安定感といい、最高の部類に入るだろう。
 ただ、二人とも元気がいいのを通り越して、威勢がいいという方がぴったりな気がする。少年少女の初恋、とても若い人の恋という意味では、よく表現されているが、もう少し甘やかな情感がある方が私は好き。



IV.「ファンシー・フリー」( Fancy Free )

振付 = ジェローム・ロビンズ( Jerome Robbins )
音楽 = レナード・バーンスタイン( Leonard Bernstein )

水兵 = ホアキン・デ・ルース( Joaquin de Luz )
     ジョン・ガードナー( John Gardner )
     ホセ・マニュエル・カレーニョ( Jose Manuel Carre
ño )
通行人 = サンドラ・ブラウン( Sandra Brown )
      ジュリー・ケント( Julie Kent )
      ロザリー・オコーナー( Rosalie O'Connor )

 やはり、この作品はおもしろい。コミカルな要素とテクニックをアピールする部分が随所にちりばめられており、それらが軽妙なリズムにのって運ばれていくので、全くあきることがない。
 最もアクロバティックな踊りを見せる第一の水兵にデ・ルース。私は昨年この役をコレーラで見たが、デ・ルースもほとんど見劣りしない出来。また、彼の天真爛漫な笑顔は、とてもかわいい。つられて、客席で微笑んでしまった。(あの跳躍と笑顔は、コレーラ家一門の伝統なのか?)
 ガードナーとカレーニョは昨年と同じ配置。ガードナーはムーディなソロは良かったが、終盤では他の二人と比べて少し苦しそうに見えた。カレーニョは何から何まで本当に素晴らしかった。
 ブラウンとケントも同じ配置。ケントの美しさは光り輝くよう。
 二人の女の子が怒って店を去ってしまうまで、5人の息はよく合っていて、お芝居としても良かったと思う。


 開演5分前に、エントランス付近をぶらぶら歩いている(?)ミッキー・マッケンジー氏を目撃。(何かご用があったんでしょうが、いいのかしら?) いつものように、この日もカジュアルな装いでした。



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