第四回 ホリディ・シーズン


 アメリカは、感謝祭( Thanksgiving )が終わるとホリディ・シーズンに突入します。
 今回の話題には当てはまらないのですが、ちょっとだけ、この感謝祭について触れておきましょう。(実は、私の怠慢で間に合わなかったのでした)

   1620年に、清教徒たちをのせたメイフラワー号が信仰の自由を求めて、アメリカに渡ったのは有名なお話ですが、彼らは目的地ヴァージニアではなく、寒さの厳しいマサチューセッツに着いてしまったんですねー。しかも冬になろうとする時季にです。これはとんだ誤算でした。
 その時、彼らには食料も防寒着もほとんどなく、春までに104人いたメンバーの半分が亡くなりました。

 そんな彼らに救いの手を差し伸べたのが、原住民(俗にアメリカ・インディアンと言われる人々)です。
 原住民は、清教徒たちに七面鳥の捕り方、とうもろこしの育て方などなどたくさんの生きる術を教え、清教徒たちも一生懸命働きました。その甲斐あって、次の秋には彼らは豊かな収穫を得ました。清教徒たちは原住民たちを招いて、みんなでの飲めや歌えやの祝宴を開いたわけです。これがアメリカで最初の感謝祭なのです。

 日本人がお正月にお雑煮やおせちを食べるように、感謝祭には定番の伝統料理があります。
 筆頭が詰物をした七面鳥。これにはクランベリーソース(甘酸っぱい)をかけて食べます。ほかに、マシュマロ入りスィートポテト、マッシュドポテト、スカッシュ、パンプキンパイなどがあり、これらを家族揃っていただきます。(この日は、皆が帰省するため、アメリカの道路と空港が最も混むらしい)

 私たちは、感謝祭の数日前から東海岸を遠く離れた島に旅行に出たので、今年は感謝祭のご馳走が食べれないなあ(いつもはESLの先生宅でご馳走になる)と残念がっていたところ、ホテルが感謝祭ビュッフェをしていたので、しっかり食べてまいりました。(笑)



    

 ちょっとだけと言いながら、長くなってしまいました。本題のホリディ・シーズンです。

 感謝祭の次の日から、アメリカは一年で最大のセール期間が始まります。これは冬物セールだけでなく、国民的プレゼント交換が始まるからです。
 そもそも12月というのは、大きな祝日が重なるのです。クリスマスに、ユダヤ教のハナカ、アフリカ系アメリカ人のクワンザ。クリスマス・シーズンとは言わず、ホリディ・シーズンというのもその為です。

 それぞれが、ご馳走・プレゼントがつきものの行事なので、この月のアメリカ人の消費行動は凄いです。4時半過ぎともなれば、道路は会社からショッピングモールに向かう車で混雑するし(用事があったら、5時まで働かなくてもいいらしい)、無理な割りこみとかが増えて、運転も荒くなるから危なっかしい。(運転がきらいな私は、なるべく外に出ないようにしている)
 家族へのプレゼントを考えあぐねて、うつ病になる人もいるらしいです。(特に、買い物なれしていない男性)
 贈答文化あれば包装文化あり、です。 ただし、ここでは包装文化の担い手は、お客さんです。早い話が、一部高級店を除けば、お店では包装をしてもらえません。ですので、この時季は包装紙、スコッチテープの売上もすごいのです。シーズン的な偏りは、日本のヴァレンタイン・デーのチョコ並ではなかろうか。

 カードは、原則元旦に着いていなければいけない日本の年賀状と違って、期間が緩やかなのでちょっと気が楽です。早いもので、12月初旬からぼちぼち届きはじめます。気をつけなければいけないのは、クリスチャンではない人にクリスマスカードを贈ること。その人の宗教がはっきりしない場合は、「Season's Greetings」と書かれてあるものが無難です。クリスチャンでないのに、クリスマスカードを送っていいのは(?)、日本人だけでしょう。

 寄付の依頼が増えるのもこのシーズンの特徴と言えるでしょう。
 また、普段お世話になっている人に、心づけを配るのも習慣です。郵便配達人(メールボックスに小額を入れておく)、都会でドアマンつきのアパートに住んでいる人はドアマンに、一戸建てに住んでいる人はごみ収集の人に、そして新聞配達の人にも小額のチップを贈ります。(ある日、新聞の包みの中に配達人からのクリスマスカードが入っているので、そこに書かれている住所に小切手を送ればOK)



    

 クリスマス関連でまず頭に浮かぶのは、何と言っても家の飾りつけではないでしょうか。
 クリスマスツリーの大きさは様々ですが、日本では絶対売れないような(家に入らないような)巨大なものも売られています。生の木を使う人も多く、この場合、とてもいい匂いが家に満ちることでしょう。園芸店で買った生木を積んでいる車をよく見かけるのも、このシーズンの情景です。
 ツリーが大きいと、必要なオーナメントの数が増えるのは当然です。おびただしい電球と色とりどりのオーナメントに彩られ、足元にたくさんのプレゼントの包みが置かれたツリーは、本当にゴージャスです。
 また、これもつきものの靴下。サンタは煙突から入ってくるとされているので、暖炉に子供たちは靴下をつるします。そして、忙しいサンタに一休みしてもらうために、クッキーとミルクを置いておくわけです。プレゼントを置いた親は、「サンタの家宅侵入の証し」を残すために、忘れずこのお菓子を食べておかないといけません。

 しかしながら、飾り付けは家の中だけでは済まないんですねー。外がすごい。これを見たらアメリカ人がいかにクリスマスを楽しんでいるか、よく分かると思います。ベランダなどにチカチカ電球をつけ、「Santa, stop!」の看板を置き、そりをひいたトナカイを庭に置き、美しいリースをドアにかけ…。隣町の豪邸街は、デザイナーを雇って、ディズニーランドもかくやの飾り付けをするため、すっかり観光名所となっています。(ほんとにすごいの!) 「省エネ」とか「電気代がもったいない」などと言っていては、アメリカ人はつとまりません。

 かわいい習慣としては、「ミッスルトゥ( mistletoe )」があります。mistletoeはやどり木のことですが、これを少し束ねてドアに逆さまにつるしておき、その下を同時に通った人たちはキスをしなくてはいけないのです。サンドラ・ブロック主演の映画「あなたが寝てる間に」で、確か使われていたので、ご存知の方もあることでしょう。

 さて、プレゼントもやり取りしたし、ごちそうも食べたし、教会にも行ったかな(?)で、クリスマスが終わると、次にやってくるのがアフタークリスマスのバーゲン。ツリーからオーナメントまでクリスマス関連のグッズが、半額ほどになるので、みんなこぞって出かけます。年ごとに主役がかわる干支のようなものがないので(毎年サンタやトナカイでOK!)、私も来年用のクリスマスカードを買いに出かけます。(私からもらった人、ごめんなさい〜。それ去年のですぅ) そして、人気店ではこれがまた長蛇の列なんだな。買う物を決めてレジを通るまで、30分から小1時間ほどかかるでしょうか。
 セールに始まり、セールで終わるアメリカのホリディ・シーズンなのでした。(はあ、疲れる〜)

 


ホームへ戻る
「Shokoのアメリカ見聞録」の先頭に戻る
「第五回 車社会に住むということ」に行く

本・漫画・DVD・アニメ・家電・ゲーム | さまざまな報酬パターン | 共有エディタOverleaf
業界NO1のライブチャット | ライブチャット「BBchatTV」  無料お試し期間中で今だけお得に!
35000人以上の女性とライブチャット[BBchatTV] | 最新ニュース | Web検索 | ドメイン | 無料HPスペース